
        
むすびに
千代鶴是秀 作 「月雲交」


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「東京の忘れられられた鑿鍛冶名人:初代正芳」について書くために訪れた二代目正芳の湯沢昭男氏宅で、いろいろお話を聞くなかでさりげなく出された名簿に目を通した時、わたしは思わず驚きと興奮を禁じ得ませんでした。長い間、わたしが資料として探していた東京の鉋鍛冶の組合の名簿の発見であったからです。 |
興奮を圧えたわたしは、後日事情を話して再度湯沢氏宅を訪れ、その名簿をコピーして戴くと共に東京の鉋鍛冶についていろいろお話をお聞きしました。湯沢氏は鑿鍛冶から鉋鍛冶に移り、古い鑿・鉋・墨壷などを収集しながら、現在足立区本木南町で大工道具店を経営し、鉋・鑿鍛冶や大工道具にたいへん詳しい知識の持ち主です。そして、その組合の名簿に載っている湯沢氏の兄である、現在宝龍斎秀延の湯沢秀男氏の住所を教えて戴きました。 |
さっそくわたしは、秀延の湯沢氏宅へ電話して事情を説明したところ、「かなり昔のことなので忘れてしまったこともあります。わたしが組合メンバーの最後の一人になってしまいました。」と話されながら、81歳という高齢にもかかわらず、こころよく東京都鉋製造協同組合のことについていろいろと教えて下さいました。 |
まさに東京の鉋鍛冶の組合の記憶が時代の流れの中に消え去ろうとしているその時に、幸運にもこの「謎の東京都鉋製造協同組合」が書け、再び記憶を蘇らせて後世に資料として残すことができるのは、二代目正芳の湯沢昭男氏と宝龍斎秀延の湯沢秀男氏のお陰で、お二人に深く感謝致します。 |
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平成20年7月吉日に記す |
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(有)スズキ金物店
代表取締役 鈴木 俊昭 |
千代鶴是秀 作 「春駒」




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