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(二) 中世の壁塗職の呼称




 平安時代以降、強いて壁塗の技術的変化・発展を指摘すると、土を塗り付ける木舞下地に竹が使用されたり、白堊上塗の材料使用量が白土から消石灰(漆喰)に増すくらいで、壁塗工事を大きく転換させるほどの発展はありませんでした。

 むしろ、中世を通じて著しいのは土壁塗工事の需要の拡大で、倉庫や土塀などの小規模建築物にも行われるようになったことです。古墳時代は建築物に対する人々の関心が屋根に集中していましたが、時代は移って人々は壁に関心が向くようになったのです。

 このような過程で、壁塗職の呼称も変化して行きます。律令体制が緩んだ平安時代の初期には、「土工」と言う用語は壁塗工事全体を指す呼称として残っていても、個々の職種を指す用語としてはすでに消滅して、「中塗工」、「塗工」(上塗りを担当)と呼ばれるようになりました。

 平安時代中期から鎌倉時代にかけて、さらに壁塗職の呼称が変わりました。「壁塗」、「壁工」、「壁大工」、「壁夫」といった名称が文献に頻出します。

 このような呼称の変化は、主要な造営工事が木工寮の所管を離れたばかりでなく、今まで画師の下請的存在の多かった壁塗職が、上塗をも含めて土壁施工の全工程を行う地位を確立したからです。



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