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むすびに



 新潟の墨壷の名工「一文字正兼」について書こうと思ったのは、当店が一文字正兼の鶴亀彫刻大墨壷を所蔵していたからです。しかも、新潟一の墨壷名工と評されたにもかかわらず、インターネットや大工道具関連の本などでいろいろ調べましたが、彼についてまったく語られていなく、謎の名工となっているのを知ったからです。

 これは、ぜひ「一文字正兼」について書き上げ、その名を広く世に知ってもらわなければならないと思い、さっそく「一文字正兼」と取引があった(株)吉村久幸商店にお聞きし、書く下準備を始めましたが、「スミツボの漢字表記の変遷について」に記したように、「墨坪の語源」について私の関心が行き、後回しになりました。

一文字正兼 作 大墨壷 刻印1 しかし、これが思はぬ展開をすることになりました。スミツボの漢字表記についてお聞きした「壷静」銘の田巻製作所に書き上げた原稿をお送りしましたところ、初代「壷静」の田巻勇氏から丁重なご礼状を戴き、そのなかで勇氏と兼吉氏が小学校の同級生であったこと、しかも同じ墨壷製作所に見習い弟子に入ったこと、兼吉氏は年季が開けた兄と一緒に辞めたこと、10数年前に亡くなったことなどを教えて戴いたことでした。これにより、いままで判らなかった生まれた年や修業先などが一挙に判明しました。

一文字正兼 作 大墨壷 刻印2

 再度、私はさらに詳しく(株)吉村久幸商店にお聞きし、この原稿を書き上げることができました。その過程で、長い間一人で一文字正兼を看病していたご子息が、一文字正兼の亡くなる前日に自ら命を絶ったという悲劇も知ることになりましたので、今回は二人の供養の意味も込めて、所蔵している墨壷の写真と一緒にこの原稿を当店のホームぺ−ジに記載し、記録として後世に残したいと思います。

 尚、今回一文字正兼についていろいろと教えて戴いた(株)吉村久幸商店や初代「壷静」の田巻勇氏に深く御礼申し上げます。



   平成22年4月吉日
   有限会社 スズキ金物店
     代表取締役 鈴木 俊昭




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