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《天然砥石の歴史と大工道具について》



砥石1


はじめに



刃物は、良質な砥石で研がなければ、よく切れませんし、綺麗に削ることもできません。大工道具である鉋・鑿・与岐(斧ともいう)・手斧(ちょうな)・槍鉋・小刀類などもそうです。日本では、研ぎやすい良質な砥石を採掘することによって、これら刃物道具はその機能を効果的に発揮して来ました。


また、古代より良質な砥石は大変重要視され、単に刃物を研ぐ石としてだけではなく、戦いに使う武器を研ぐ石として軍事物資の扱いでした。戦いに行く兵士は、常に小型の砥石を携帯していたそうです。


 この砥石の重要性を伝える古文書として、11代将軍徳川家斉時代の中頃、寛政11年(1799)に発刊された「日本山海名産図会」があります。この書は、各地の主要産物、産出状況、採集方法などについての情報が挿絵を付けて説明しているのですが、「○ 砥礪(といし) 精(こまか)なるものを砥といひ、粗(あら)きなるものを礪(れい)といふ」の項に、「諺に、砥は王城五里を離れず、帝都に随いて産すと云うのも空ことにあらずしか」とあり、都が築かれた近くには、砥を産出するところがあったとの言い伝えです。

 実際、奈良の平城京の東には、良質の白砥が採れる春日山があり、京都の平安京の北には上質の仕上砥(合砥)が採れる愛宕山がありました。京都の合砥は、貴重なものとして時の政権によって管理されました。砥とは、それほど重要なものだったのです。

 大工道具の大名人であった千代鶴是秀師は、上質な合砥を持ち、鉋や鑿などの刃を研いでいました。碓氷健吾氏は、若き頃、この是秀師から「刃物は研がないと切れない」と教えを受けた単純であるけれども奥の深い意味を、60歳頃に改めて再認識し、研ぎと砥石について一層研鑚に努め、越後の鉋鍛冶名人から日本の鉋鍛冶名人へと飛躍しました。

このように良質な砥石は、刃物にとってなくてはならない極めて重要なものなのです。そこで、日本における天然砥石の歴史を、長い論稿になりましたので、(1)と(2)に分けて語り、大工道具発達との関連について考察してみましょう。以下、敬称は略させて戴きます。



天然砥石と大工道具について―古代から室町時代まで― 目次





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