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むすびに



 今回は、日本における曲尺の歴史を語りながら、曲尺を作っていた鍛冶師たちについて書き上げました。曲尺は古来より大工棟梁にとって極めて大切な計算尺で、小さな家から大規模な仏教寺院そして巨大な城郭まで、この曲尺一本で図面を書いて築き上げました。曲尺を使っての規矩術とは正に驚異の術で、曾ての大工棟梁の技能の優秀さに驚嘆します。


しかし、この曲尺を作っていた鍛冶師たちについては、ほとんど記録に残されていません。遠い昔の時代より大工道具産地に曲尺鍛冶師はいたはずですが、現在唯一知ることができるのは、江戸時代後半の播州三木と越後三条のわずかな鍛冶師たちだけです。


 このようなことから、本稿を書き上げる契機になったのですが、いろいろと調べて行く過程で、曲尺の一種であった鉄尺が当初大阪難波の鍛冶師によって作られたこと、それは室町時代の後期であったこと、和鋼製の曲尺の製作が非常に難しかったこと、曲尺が大変に高価であったこと、江戸時代の会津ではかなり以前から和鋼製の曲尺が作られていたことなどを詳しく知り得て、書き上げることができました。

さらに、大きな発見であったのは、いままで謎の曲尺鍛冶師であった越後の名工中や九助が、天保3年に三条鍛治町に生まれた宗村九助であったこと、会津に鋼製曲尺作りの修業に行って帰郷した阿部藤右ヱ門からその製法を伝授されたことが、思いもかけず解ったことでした。これは本当に大きな収穫でした。本稿も、記録として後世に残したいと思います。





   平成23年12月吉日
   有限会社 スズキ金物店
     代表取締役 鈴木 俊昭




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