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大工道具を扱う金物業界の一部には、「終戦直後の一時期に、若き刀匠が生活のために鉋を鍛ち、それがすばらしくよく切れ、その後、若き刀匠は日本刀の製作で数々の賞を受け、有名な刀匠になった」との話が伝わっていました。この鉋は、東京台東区浅草橋の大工道具・刃物問屋(株)森平で「千代正」銘の鉋として売られていました。 |
しかし、この鉋を鍛っていた「千代正」とは、どこの出身で誰であったのか、また刀匠と言えどもたやすく鉋は鍛てず、誰から鉋を鍛つ技術を学んだのか、いつ頃まで鉋を鍛っていたのか、などについては分からず、長い間「謎の鉋鍛冶」として知られていました。 |
ところが、¨人間国宝¨となったある刀匠が、平成16年に刀匠として歩んできた60年余りの人生を振り返って記述し、出版した著書を、わたしが偶然に地元の図書館で見つけたことによって、この「謎の鉋鍛冶」が図らずも詳しく明らかになりました。そこで、この著書を参考にして、上記の謎であった事柄について、明らかにしていきたいと思います。
以下、敬称を略させて記述させていただきます。 |
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