木材を平らに削る台付き鉋の出現は、室町時代の中頃に遡ります。中国大陸から、鉋台の両脇に取手が付いた1枚刃の押し鉋として伝わりました。中国や朝鮮半島では、松など硬い木を削るため、両手で鉋台の両脇に付いた取手をつかみ、力一杯押して削り、その後塗装仕上げをしました。鉋で薄く削り、木材の美しい削り肌を尊重する美意識はなかったようです。また、前に紹介した中国の産業技術書「天工開物」には、鑿と同様に鉋にも鋼をはめて製造されましたが、現在中国や朝鮮半島で使用されている同型の鉋の刃には「裏スキ」が見られませんので、当時も「裏スキ」がなかったものと推察できます。
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