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この本は、著者が3、4年掛けて取材した記事を中央公論・商業界・女学世界・新小説などに掲載したものを一冊にして、明治40年に出版したものです。内容は、怪物傳・闇の中の婦人・婦人の貞操の価値・姦通犯人・死刑女子・露国の革命婦人・名工の苦心・隠逸傳・忘れられたる文土・失敗者の失敗譚の十章に分けられ、著者の有磯逸郎とは横山源之助のペンネームです。 |
横山源之助(1871〜1915)は、明治4年に富山県魚津市に生まれ、英吉利法律学校(現中央大学)に学び、弁護士をめざしましたが、失敗して横浜毎日新聞の記者になり、明治から大正初期にかけて社会の底辺で働く人々を赤裸々に描き、当時の悲惨な現状を世に訴えた社会派ジャーナリストで、政府の社会調査などにも加わりました。労働組合期成会にも関与しました。 |
明治32年29歳のときに発表した「日本之下層社会」は横山の代表作で、社会の底辺の人々の生活状況を日本で初めて明らかにするとともに、総合的に研究した古典書物として、いまなお高く評価されています。45歳で閉じた横山の生涯の活動は、社会問題研究と労働運動の先覚者として、また今日の社会福祉の先覚者として広く知られています。 |
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