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(五) 左官用墨壷



木製左官用墨壷1
 今まで大工職の使う墨壷について、いろいろと述べてきました。墨壷は大工職ばかりでなく、壁を塗る左官職の人達も使う必需品で(1・2級左官実技試験に必要な道具として記されている)、昔から使ってきました。結びに、この左官用墨壷について少し述べてみましょう。

 左官職用は大工職用の墨壷と違い、壷糸の出る口が5cm前後細く伸びたもので、チリ墨(どれだけ塗るかを一定にするために、柱や鴨居などの木製左官用墨壷2木部につける墨)を打つ際に、隅を狙いやすい形態にした墨壷で、壷糸を長く打たないので、壷車が小さい7寸前後の小型のものでした。黒い墨を打つと、柱などの面を汚す恐れがあることから、以前は左官用には鉛白粉液を用いてきましたが、戦後の高度成長期には黒墨が主でした。

 左官職の古老に以前聞いたところによると、明治時代に欅で彫られた左官用墨壷が使われていたとのことですが、それ以前にどのような歴史があるのかは現在資料がないために分かりません。日本での本格的な左官技術は、崇峻元年(588年)に百済から渡米した工人からと言われますので、それ以後の左官技術が高度化した時代ではないかと推察します。
プラスチック製左官用墨壷1 戦後の左官型墨壷の変遷を述べますと、左プラスチック製左官用墨壷2官用は安価で木製大工用墨壷を彫る人達によって作られていましたが、やがてプラスチック左官墨壷が作られ、木製の左官墨壷はほとんど消えていきました。やがてパーフェクト墨壷が出ると、長さを調整でき、隅を押えることのできる「つる首」機能が付いているために、今度はプラスチック製のものがあまり使われなくなりました。そして、建築工法が急速に変化して、今では左官用墨壷はほとんど使われていません。


 平成20年5月吉日に記す。

 有限会社 スズキ金物店
   代表取締役  鈴木俊昭

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