また、「大工道具」の種類の中に木造建築の大工が使わない道具も含まれていますが、江戸時代に何々大工と呼ぶ木を扱い工作をする職人が多く出現したことによって、彼らの使う木工具も、「大工道具」の中に入れられたのではないかと思います。今日では、広く解釈して、これら木工具すべてを含めて「大工道具」と呼んでいるのです。
また、現在大工の親方を意味する「棟梁」という言葉が、室町時代の中頃から盛んに登場し、地位も上がって行きましたが、「棟梁」の語彙の登場は、足利将軍家御用大工の順位階層から来ているのではないかと思います。
本稿で述べてきたことは、いままでほとんど語られず、誤解も生じていましたので、大工道具に関係する多くの人にこれらについて知ってもらうとともに、さらなる調査・研究がされることを期待する次第です。
(参考文献) 一、拙著『大工道具文化論』2015年
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