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むすびに



 今回は、直接木造建築の携わる工匠ないし職人が、古代から近世までどのような職業種名で呼ばれて来たのかを語り、平安時代までは「木工」(こだくみ)、中世では「番匠」、近世からは「大工」という名称であったことを指摘しました。

 これらのことから、厳密に言えば、その時代時代で「木工(こだくみ)道具」、「番匠道具」、「大工道具」と分けて呼ぶべきなのでしょうが、同じ木造建築に直接携わる人たちの道具でしたので、無理にこだわらず「大工道具」と呼んでいいのではないかと思います。しかし、誤解を招くので、呼称変遷の歴史は知って置くべきでしょう。

また、「大工道具」の種類の中に木造建築の大工が使わない道具も含まれていますが、江戸時代に何々大工と呼ぶ木を扱い工作をする職人が多く出現したことによって、彼らの使う木工具も、「大工道具」の中に入れられたのではないかと思います。今日では、広く解釈して、これら木工具すべてを含めて「大工道具」と呼んでいるのです。


また、現在大工の親方を意味する「棟梁」という言葉が、室町時代の中頃から盛んに登場し、地位も上がって行きましたが、「棟梁」の語彙の登場は、足利将軍家御用大工の順位階層から来ているのではないかと思います。


 本稿で述べてきたことは、いままでほとんど語られず、誤解も生じていましたので、大工道具に関係する多くの人にこれらについて知ってもらうとともに、さらなる調査・研究がされることを期待する次第です。


(参考文献)
一、拙著『大工道具文化論』2015年



平成29年8月吉日
   有限会社 スズキ金物店
     代表取締役 鈴木 俊昭




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